東京ホテル会 2024年お盆期間分析
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東京ホテル会を主催しております高部です。
東京ホテル会では東京の宿泊特化型ホテルの稼働率等がぶれる『GW』『お盆』『シルバーウィーク』『年末年始』の四つの期間を詳しく分析しております。
それでは今回は2024年迄のお盆期間を分析いたします。
今回のお盆の分析期間は2017年から2024年迄の8年間で、分析内容は『稼働率』『室単価ADR』『RevPAR』『一人当たりの客単価』の4部門です。
2024年のお盆期間は8月9日から19日迄の11日間です。
今年迄の8年間はどういう年だったか
2017年頃から始まった入国ビザ緩和により東南アジアを中心にインバウンドツアーが激増し、それまで30年間なかなか上がらなかった売上も上がり始めました。
2017年から2019年迄の3年間は観光立国の夢を抱き、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを機会に更なる飛躍の年とすべく希望に満ちあふれておりました。
2019年年末頃より中国の武漢で新型コロナ禍が発生し、瞬く間に全世界へと伝播して、絶望の2020年となってしまいました。
全世界への新型コロナ禍の蔓延により観光業、宿泊業等は壊滅的な打撃をうけ、2020年、2021年、2022年は地獄の3年間へとなりました。
その地獄の3年間でも日本国政府はGo Toトラベル等の施策を行い、苦境の観光業に手を差し延べてくれましたが、東京の小池都知事は自粛・自粛・自粛と言い続け、さらに東京へは来ないで欲しい発言や神奈川県黒岩県知事が発言もしていないのに「黒岩さんが賛成」したとの虚偽の宣言等をして混乱を増すこととなってしまいました。トホホ
2023年頃より、皆様がコロナ禍に慣れて、過度におそれるような事も減り少しずつ平穏となってまいりました。
そして、コロナが2類から5類へ変更となり、また待望のインバウンドツアーも解禁と円安等も重なり、その結果、日本国内からの東京への観光客とインバウンドお客様が東京に殺到し始め、2023年、2024年は急回復いたしました。
まるで押さえられていたマグマが噴出した勢いです。
観光立国を目指す日本に於いて、ほぼ何でも揃う超巨大都市東京への観光旅行が如何に重要かを如実に表す結果となっております。
『稼働率』について
【東京ホテル会 お盆期間の平均稼働率グラフ】
稼働率は2020年、2021年、2022年を除いては、ほぼ同程度の稼働率となっております。
2020年、2021年、2022年はコロナ禍で単価(ADR)を下げて販売をしても稼働率は上げられない状態でした。地獄の3年間でした。
それ以外の年の稼働率の推移は似ておりますが、内容的では2017年、2018年、2019年はインバウンド増で順調、2022年はやや回復傾向で単価を下げて稼働率を確保、2023年、2024年はコロナが5類へ変更になり、またインバウンド解禁による旅行に行きたいマグマが噴出し、稼働が激増した年となりました
『ADR(室単価)』について
【東京ホテル会 GW期間の平均ADRグラフ】
お蔭様で2023年と2024年が突出して良い値となっております。
これはコロナ禍で押さえられていた国内旅行のお客様、海外では日本人気が高まっており、それに円安が加味してインバウンドお客様が殺到した結果、ADR(室単価)を上げられた結果だと思っております。
この2023年と2024年は、インバウンドのお客様で景気の良かった2017年から2019年をも超える良い数値となっております。
円安様々です。観光業に於いてはありがたいことですが、円安と言うのは日本の国力が弱まって円の力が弱くなっているから円安になっているので、これで良いのか日本国政府?
2020年、2021年、2022年は地獄の3年間でADR(室単価)は上げられませんでした。
『RevPAR』について
【東京ホテル会 GW期間の平均RevPARグラフ】
RevPARは稼働率×ADR(室単価)で計算される数値で、最も重要な数値です。
稼働率を上げたければADR(室単価)を下げる事によって(コロナ禍中を除く)稼働率は上がりますが、売上は無駄に低くなります。
時節の情勢を鑑みずに過度なADR(室単価)の値付けは稼働率を下げる事となります。
適切なギリギリ高値でのADR(室単価)プラン販売で高稼働率を狙うと言うのが理想的なRevPAR数値となります。
東京ホテル会では一貫してRevPAR重視の分析を行っております。
2023年、2024年はコロナ禍自粛で押さえつけられていた旅行へ行きたいマグマが一気に吹き出した結果と考えております。
願わくばこの調子が永遠に続いて欲しいです。
2020年、2021年、2022年はコロナ禍中で手も足も出ない状態でした。
『一人当たりの客単価』について
【東京ホテル会 GW期間の平均客単価グラフ】
一人当たりの客単価では2020年が一番低い値となっております。次が2021年です。
これは2020年より始まったコロナ禍に於いて、何とか売上を上げようと苦心した結果、安い2人プラン同室を作り集客を狙ったものと考えます。
突然に襲いかかってきたコロナ禍においても何とか活路を見いだそうと苦心していた事が見いだせます。本当に地獄の3年間でした。
2023年、2024年は一人当たりの客単価も高く、この高客単価がどうかこのまま続いてくださいと願っております。
まとめ
地獄の3年間を抜け出し、やっと光が見えてまいりました。
これからも東京の宿泊施設をよろしくお願いいたします。
以上、長文失礼いたしました。お読みいただきありがとうございます。
高部 彦二
東京のビジネスホテルに約40年間勤め、勤続中より、東京ホテル会を立ち上げる。
ホテル支配人として、東京ホテル会会長として、バブル崩壊、リーマンショック、3.11東日本大震災、そして今回のコロナショックと東京の宿泊特化型ホテルの変遷と進化を見続けてきた。
『これからの人を育てる』を信条に、品川区及び江東区の旅館組合長他、環境衛生協会、食品衛生協会等々、各種団体の重役として活動する傍ら、業界紙への寄稿も行う。最近のデータ分析は稼働率やADRよりも『RevPAR中心主義』を掲げている。
昭和60年、品川区・港区で営業中のホテルを中心に「情報交換と協力親和により共存共栄とホテル業界の向上発展に寄与する」事を目的として『東京城南ホテル会』として発足した。
その後、業界を様々に襲う危機の中、「各ホテルが生き残る為に必要な情報を得ることができる会」へと実践的な変貌を遂げ、平成10年『東京ホテル会』として都内全般のホテルが参加する会に発展した。
『競い合うことでしか生き延びる道は無し』をスローガンとして、毎月の稼働情報交換、他ホテル見学会、活動やセミナー・勉強会の開催等の活動を行っている。現在参加223ホテル、総部屋数43,429室。